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なぶる?!

第014号(1997年9月4日)

技術部フォント管理開発課
合田知由


区点コード5344に「嫐」という漢字があります。見ての通り、左右から女に挟まれた男で「なぶる」と読みます。すぐ隣りの区点コード5343 に「嬲」という文字もあります。こちらは、左右から男に挟まれた女で同じく「なぶる」と読みます。なぜか、両方の文字が「女へん」に分類されています。



この嫐と嬲について『漢字の字源』(阿辻哲次著:講談社現代新書1193)では次のように説明されています。

    ……『嬲』は、古代の文献ですでにこのように『愚弄する・もてあそぶ』、あるいは『うるさくつきまとう』という意味で使われていたのである。(中略)『嫐』は『嬲』の異体字として使われる文字だった。(中略)男二人が女をあいだにはさんだ『嬲』が『なぶる・愚弄する』ことであるのならば、女二人が男をあいだにはさんだ形の『嫐』だって同じ意味となるのは当然で、この二字に関しては『セクシャル・ハラスメント』は存在しなかったようだ……

ところが以前、嫐と嬲の語源について、全然違う話を耳にしたことがあります。

    ……“妻子ある男が妾をつくり、離婚を迫られた時のこと。本妻は家に仕える女中さん達を集めて男に詰め寄り、板挟み状態にして責めた…”ことを表現したのが「嫐」の文字。しかし女性が男を責める「嫐」だけでは不公平なので、後から同じ読みの「嬲」ができた……。

こちらの話は怪しげですが、わかりやすいことは確かですね。

文章の中で、普段あまり見かけない漢字に出会ったとき「何と読むのか確信がないけれど、それとなく意味はわかるから……」と深く考えずにそのまま済ましてしまうことが多いかもしれません。しかし、それぞれの文字に歴史があって現在に至る、というのが漢字のおもしろいところです。字形をじっくり眺めながらその文字の成立の背景などを想像するという楽しみ方もあるでしょう。


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